【2025年版】国際SEO完全ガイド|hreflang・多言語/多地域対応・ドメイン戦略の実務

国際SEOの目的は、ユーザーの言語・地域に最適なページを確実に届けることです。 その要となるのが hreflang(エイチアールイーフラング) タグと、多言語・多地域の情報設計。
本記事では、実装手順から運用フローまで、BtoB/コーポレートサイトでそのまま使える実務ノウハウをまとめました。
前提整理(用語のカタカナ読み付き)
- hreflang(エイチアールイーフラング)
言語/地域対応の代替ページ関係を示すリンク属性 - ccTLD(カントリーコード トップレベルドメイン)
例.jp/.usなど国別TLD - TLD(トップレベルドメイン)
ドメインの最上位。例.com,.org - CDN(コンテンツ デリバリー ネットワーク)
地理的に近いサーバーから配信し表示を高速化 - ローカライゼーション
単なる翻訳ではなく、通貨・単位・商習慣・法令・表現まで現地最適化
ドメイン戦略:ccTLD / サブドメイン / サブディレクトリ
1) ccTLD(example.jp)
- 利点:強い地域シグナル、現地ユーザーの信頼
- 留意:運用コストが国別に増大、ドメイン権威の分散
2) サブドメイン(jp.example.com)
- 利点:地域/言語の切り分けが明確、インフラ分離が容易
- 留意:SEO上は独立サイト寄りに扱われやすい(権威継承に工夫)
3) サブディレクトリ(example.com/ja-jp/)
- 利点:ドメイン権威を集約しやすい、運用コスト低め
- 留意:情報設計・パーミッション管理を厳密に
実務指針
スピードと運用負荷を重視する中小〜中堅企業はサブディレクトリが総合的に有利。国別に強いブランディングが必要ならccTLDを検討。
hreflang実装の基本(相互参照と自己参照)
hreflangはページごとに「代替ページ関係」を相互参照で記述します。 すべてのバージョンに自己参照とx-default(汎用フォールバック)を含めるのが定石です。
<!-- ページ "製品A(日本向け)" の <head> 内例 -->
<link rel="alternate" hreflang="ja-JP" href="https://example.com/ja-jp/products/a/" />
<!-- 自己参照 -->
<link rel="alternate" hreflang="en-US" href="https://example.com/en-us/products/a/" />
<link rel="alternate" hreflang="en-GB" href="https://example.com/en-gb/products/a/" />
<link rel="alternate" hreflang="zh-CN" href="https://example.com/zh-cn/products/a/" />
<link rel="alternate" hreflang="x-default" href="https://example.com/en/" />
- コード(言語-地域):ISO言語コード+地域コード(例:
ja-JP,en-US) - 相互参照:各バージョン同士が互いを指定(片方向はNG)
- 実装場所:
<head>内、もしくはXMLサイトマップに定義も可 - canonical:各バージョンは自己参照canonicalが原則

多言語・多地域の情報設計(IAとURL設計)
- 言語パス形式
/ja-jp///en-us///zh-cn/のように一貫化 - 言語切替UI
各ページ同士で1:1に対応する切替リンクを常設 - 自動リダイレクト
IP/ブラウザ言語での自動遷移は必ず代替リンクを提示(検索エンジン到達性を担保) - 検索意図の差分
国/地域でクエリが異なるため、ローカルキーワード調査を別途実施
ローカライゼーション(翻訳を超える最適化)
- 通貨/税/VAT/送料
現地通貨表記、税込/税抜の慣習、配送条件 - 単位/日付/電話表記
cm/inch、YYYY/MM/DD vs MM/DD/YYYY、国番号 - 法令/約款/プライバシー
各国法に準拠(例:クッキーバナー、同意管理) - 事例・証憑
現地企業の実績、現地メディア/ディレクトリからのローカル被リンク - サポート体制
問い合わせ先、営業時間、サポート言語の明示
重複コンテンツとインデックス制御
- 翻訳版は別URL+自己参照canonical(他言語へcanonicalしない)
- ファセット/並び替え/トラッキングパラメータはURL正規化と必要に応じて
noindex - PDFや仕様書の多言語版は、言語別にURL分割+言語版間リンク(可能ならHTML化も検討)
スピードとUX(Core Web Vitals / モバイル)
- 現地からの実測(フィールドデータ)を重視:国別のLCP/INP/CLSを監視
- CDNのジオ配信・画像最適化(WebP/AVIF)・フォント/JSの遅延
- モバイルでPC同等のパリティ(本文・見出し・構造化データ・内部リンク)
WordPressでの実装ポイント
- プラグイン
WPML / Polylang / MultilingualPress などで言語別URLを構築 - hreflang出力
テーマで<head>に自動挿入(相互参照とx-defaultを担保) - 翻訳ワークフロー
原文更新→翻訳キュー→公開→サイトマップ更新→Search Console送信 - メディア
画像内の文字要素は可能な限りテキスト化/差し替えで現地最適 - 計測
プロパティ/ビューフィルタで言語別の流入・CV・Core Web Vitalsを可視化
よくある落とし穴
- 相互参照の欠落:片方向のhreflangで効果半減
- canonicalの誤設定:他言語へ正規化してインデックスが集約される
- 言語切替UI不整合:対応先のURLが1:1で存在しない
- 自動リダイレクトのみ:検索エンジンや海外ユーザーが目的ページに到達できない
- 同一言語の地域差:
en-USとen-GBの綴り/価格/単位/法規差分を軽視

運用フローとKPI
- 設計
ドメイン方式・URL規約・言語/地域コード・x-default方針の決定 - 実装
テンプレートでhreflang(自己参照/相互参照/各地域)+自己参照canonical - 検証
URL検査/サイトマップ/ログで取得状況、言語切替UIの1:1対応を確認 - ローカライズ
通貨・単位・法令・事例・FAQを現地化、現地被リンク施策 - 監視
国/言語別の掲載順位・CTR・CVR・LCP/INP/CLSを継続トラッキング
目安KPI
- 対象すべてのページでhreflangの相互参照率100%
- 国/言語別の直帰率・CVRの改善(四半期比較)
- Core Web Vitals良好URL比率を各国で+20%(6か月)
- 現地ドメイン/メディアからのローカル被リンク獲得数の増加
まとめ
国際SEOは、正しいURL設計×hreflang×ローカライズ×速度/UXの掛け合わせです。 相互参照と自己参照を徹底し、言語切替とコンテンツの現地最適化を継続すれば、海外検索からの獲得は安定的に伸ばせます。
株式会社マスタープランでは、国際SEO監査→設計(ドメイン/URL/情報設計)→実装(hreflang/構造化)→ローカライズ制作→計測運用まで一気通貫で支援します。
ご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

