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【2025年版】HTTPS化のランキング影響と移行設計|無料SSLと有料SSLの違いも徹底解説

HTTPSはもはや標準。暗号化による安全性に加え、検索評価・CTR・コンバージョンにも波及します。

本記事では、ランキング影響(直接/間接)移行の技術設計無料SSLと有料SSLの違い計測とリスク回避を、実務のチェックリスト付きで解説します。

用語整理(カタカナ読み付き)

  • SSL/TLS(エスエスエル/ティーエルエス)
    通信を暗号化するプロトコル。実装はTLSが主流。
  • HSTS(エイチエスティーエス)
    常にHTTPSで接続させるブラウザ指示ヘッダー。
  • HTTP/2・HTTP/3(エイチティーティーピー)
    新世代の高速プロトコル。HTTP/3はQUIC(クイック)上で動作。
  • OCSP Stapling(オーシーエスピー・ステープリング)
    証明書失効確認を高速化する仕組み。
  • DV/OV/EV
    ドメイン認証/組織認証/拡張認証の証明書種別。

HTTPSのランキング影響:直接効果と間接効果

直接効果(軽微だが確実)

  • HTTPSは検索ランキングの軽微なプラス要因。単独での順位ジャンプは稀だが、同等品質ならHTTPSが有利。

間接効果(こちらが大きい)

  • CTRの改善
    ブラウザの「保護されていない通信」警告の回避で離脱を防止。
  • 体験品質
    TLS1.3・HTTP/2/3・CDN最適化によりTTFBやLCPが改善しうる。
  • 信頼とCV
    フォーム送信・決済・会員登録の安心感が向上。

結論HTTPSは“必須の土台”。技術的に正しく移行し、体験品質とセットで最大化するのが要点です。

無料SSLと有料SSLの違い(SEO観点を明確化)

共通点(SEOに関して)

  • 暗号化強度は同等(DVのLet’s Encrypt等でも十分)。
  • 検索エンジンのHTTPS評価は有料・無料で差はつかない

相違点(ビジネス・信頼・運用観点)

  • 認証レベル
    DV=ドメインのみ、OV/EV=組織の実在確認あり(対外信頼性)。
  • 保証・サポート
    有料は保証額・導入/障害サポート・サイトシール等。
  • 機能
    ワイルドカード(*.example.com)、SAN(複数ドメイン)などの柔軟性。

指針ブログ・小規模サイトはDVで十分。企業サイト・採用はOVが安心。EC/金融/医療はポリシーに沿ってOV/EV+監査体制を。

HTTPS移行の技術設計(SEOを落とさない)

1) リダイレクトとURL正規化

  • HTTP → HTTPS へ 301(恒久)をサイト全体で一括適用(サブドメイン含む)。
  • CanonicalHTTPSを指し、自己参照を徹底。
  • hreflangog:urlRSS構造化データURLもHTTPSへ更新。
  • サイトマップ(XML)はHTTPS URLのみを掲載し、Search Consoleへ再送信。

# 例:Apache (.htaccess)
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTPS} !=on
RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}/$1 [R=301,L]

# 例:Nginx
server {
listen 80;
server_name example.com www.example.com;
return 301 https://example.com$request_uri;
}

2) 混在コンテンツ(Mixed Content)の解消

  • CSS/JS/画像/フォント/iframe 等のHTTP参照を一掃(絶対URLの置換)。
  • CDN・Analytics・タグのエンドポイントもHTTPSへ。
  • WordPressは「一般設定」のURL・DB内置換(検索置換ツール)・ハードコードを確認。

3) HSTS + セキュリティヘッダー

  • HSTS:Strict-Transport-Security: max-age=31536000; includeSubDomains; preload
  • 適用順:テスト環境→サブドメイン→本番。誤設定は復旧困難のため段階導入。
  • CSP(Content-Security-Policy)で混在スクリプトを抑止、upgrade-insecure-requestsの併用を検討。

4) プロトコル最適化(パフォーマンス)

  • TLS1.3OCSP Stapling・圧縮された証明書チェーン。
  • HTTP/2・HTTP/3の有効化(CDN/サーバでサポート)。
  • 画像の次世代形式(WebP/AVIF)・preloadfetchpriorityでLCP短縮。

Search Console / GA4での計測と監視

  • Search Console
    ドメインプロパティでHTTP/HTTPSを一元監視。移行後はHTTPSのインデックス率・クリック・CTRを主要指標に。
  • カバレッジ
    「重複, ユーザー指定の正規URLが選択されていません」や「検出-インデックス未登録」を重点監視。
  • GA4
    リダイレクト後のランディング・CVの落ち込みがないか。UTM・計測タグのHTTPS化も確認。
  • CWV(Core Web Vitals)
    LCP/INP/CLSが移行で悪化していないか(キャッシュ・CDN設定を同時最適化)。

移行チェックリスト(保存版)

移行前

  • 証明書の種別(DV/OV/EV)、ワイルドカード/SANの要否を決定。
  • ステージングで全ページのHTTPS動作・混在コンテンツを検査。
  • CDN・WAF・リバプロの証明書とTLS設定を合わせる。
  • バックアップ(DB+ファイル)取得、ロールバック手順を文書化。

移行当日

  • 全体301・Canonical・サイトマップ差し替え。
  • Search ConsoleのURL検査で代表ページをフェッチ&レンダリング。
  • 重要CVページのフォーム送信・決済をE2Eテスト。

移行後(72時間〜2週間)

  • エラーログ(4xx/5xx)・リダイレクトチェーンを解消。
  • 外部リンク主要サイトへHTTPS更新依頼(可能な範囲で)。
  • HSTSを段階適用→安定後にpreload申請。

よくある落とし穴と対処

  • 混在コンテンツ放置
    ブラウザがブロック→レイアウト崩れ・計測欠落。全静的アセットを一括置換。
  • 二重インデックス
    HTTPとHTTPSが併存→評価分散。301とCanonicalで統一。
  • リダイレクト多段化
    http → www → https → 非wwwの多段を排除し1ホップへ。
  • 証明書期限切れ
    自動更新失敗に備え監視(期限30日前アラート)。
  • HTTP画像CDN
    外部CDNがHTTPのみ→代替CDNへ移管またはプロキシ配信。

ケース別:無料SSLと有料SSLの選び方

  • 個人ブログ/情報発信
    DV(無料)で十分。自動更新と監視を厳格に。
  • 中小企業サイト/採用
    OV推奨。組織実在性で取引先の安心感を担保。
  • EC/金融/医療
    OV/EV+WAF+ログ監査。法令・社内基準に準拠。
  • マルチドメイン/多数サブドメイン
    SANまたはワイルドカードを活用。

※SEOの観点だけならDVで十分。ただし事業リスク・ブランド・サポート体制まで含めて判断するのが実務です。

成果測定のKPI

  • SEO
    HTTPS化後の自然検索CTR・クリック・平均掲載順位・インデックス率。
  • UX
    LCP/INP/CLS、TTFB、モバイル/デスクトップの分解。
  • ビジネス
    フォームCVR・購入CVR・離脱率・直帰率。
  • 運用
    証明書更新失敗率0%、監視アラート対応SLA。

まとめ

HTTPSはランキングの軽微な加点にとどまらず、CTR・信頼・体験品質を底上げする必須基盤です。 無料/有料の差はSEOではなくビジネス要件で判断。

移行は301・Canonical・サイトマップ・混在解消・HSTS・HTTP/2/3のセットで実行し、Search ConsoleとGA4で確実に検証しましょう。

株式会社マスタープランでは、HTTPS移行設計(CDN/WAF/TLS1.3)→混在解消→HSTS→計測ダッシュボードまで一括で支援しています。

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